『風邪』について

2023/12/19

当院には『風邪症状』の患者様が多数来院されます。本日は意外と奥深い、風邪症状について記載致しました。皆様の風邪に対する知識が、少し深まれば嬉しく思います。

【風邪とは何か?】
風邪、いわゆる『急性上気道感染症』は、ウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。200種類以上のウイルスが風邪の原因となりますが、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが有名です。これらのウイルスは、気温や湿度が低い冬季に活動が活発になり、咳やくしゃみによる飛沫、直接的な接触、または感染した表面に触れた後に顔を触ることによって人から人へと伝播します。


【風邪の典型的な症状】
風邪の症状は以下の通りです:

・咳:気道を刺激するウイルスに対する防御反応。
・のどの痛み:ウイルスによる喉の粘膜の炎症。
・鼻水や鼻詰まり:鼻の粘膜がウイルスの侵入に反応して腫れるため。
・頭痛と筋肉痛:体がウイルスと戦うために放出する化学物質が原因。
・疲労感:身体がエネルギーを免疫応答に向けているため。
・発熱:体温の上昇がウイルスの増殖を抑えるのに役立ちます。

特に『咳、鼻汁、咽頭痛』3症状が同程度に急性にあることが、風邪を強く示唆する所見となります。また、ウイルス感染症の典型的な所見として、多領域に感染症状を起こすことが挙げられます。3症状に加えて、眼の充血、眼脂(目やに)や筋肉痛があることも、ウイルス感染症を示唆します。
症状は基本的に2-3日でピークを迎え、5-7日目にかけて改善していく経過が一般的です。


【細菌感染症との違い】
風邪はウイルス性感染症ですが、細菌感染症は細菌が原因で起こります。最も顕著な違いは、細菌感染症は抗生物質に反応するのに対し、風邪には抗生物質の効果がないことです。
なので、『風邪のような症状』で患者様が来院された場合、ウイルス感染症なのか、細菌感染症なのかということに細心の注意を払って診断しております。安易に抗生物質を服用すると腸内の善玉菌に影響を及ぼし、腸内環境が悪化し”下痢”を引き起こすこともあります。また、抗生物質の投与でアレルギー症状を起こす方もおられるため、抗生物質の処方は、細菌感染の診断がついた方に、根拠を持ってなされるべきなのです。


【治療法】
風邪の治療は以下のような方法で行われます:
・十分な休息:身体が回復するための基本。
・水分補給:脱水を防ぐのに重要。
・栄養:バランスの取れた食事が免疫力を高めます。
・対症療法:症状に応じて咳止め薬、鎮痛剤、解熱剤などが用いられます。症状を和らげる目的です。
・抗ウイルス薬:新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスなど特定のウイルスには、治癒を早めたり、重症化を予防するために使用される、抗ウイルス薬がございます。
・漢方薬:咳、鼻汁、咽頭痛、感冒後の疲労感などの症状に対して、漢方薬の効果があることがございます。


【風邪に対する漢方】
当院で処方可能な漢方薬を以下に記載いたします。ご希望がある方には、治療の補助薬として処方させていただきます。
・咳:麦門冬湯、竹筎温胆湯
・鼻汁:小青竜湯
・咽頭痛:桔梗湯
・風邪、インフルエンザなどの初期症状:葛根湯、麻黄湯
・感冒後の疲労感:補中益気湯

【予防策】
風邪の予防には以下の方法があります。
・手洗い:ウイルスの拡散を防ぐ最も効果的な方法。
・免疫力を高める:十分な睡眠、バランスの取れた食事、定期的な運動が免疫システムを強化します。
・予防接種:新型コロナ、インフルエンザのような特定のウイルスに対しては、予防接種が有効です。


【出席停止期間】
・インフルエンザウイルス:「発症後5日間が経過し、かつ解熱後2日間(幼児は解熱後3日間)」
・新型コロナウイルス:「発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで」

簡単で恐縮ですが、風邪症状について記載いたしました。皆様の療養のお役に立てる情報になればと思います。
当院は風邪症状の患者様についても診療可能です。お気軽にご相談ください。

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